第6章 そうそう高くは売れない

SP音盤コレクターへの道
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人気は限られている

クラシック音楽の好きな方は、数百年前の作曲家の作った楽曲を今でも聴いておられます。それだけに、この曲を、伝説的なあの指揮者で聞いてみたいとかいう欲求があるのだろうと思います。それだけに、古いレコードには幻の顔合わせ的な物もあり、どうしても聞きたいと思うものに出会ったら、超ラッキーなのです。さらに繊細な弦楽を聞くためには、すり切れたSP盤では雑音が多くて、聞く気にならないでしょう。それだけに状態の良いものに出遭うなどというのは、滅多になくてしかも洋盤(文字通り海外でプレスされたレコード盤)が多いのです。
そうなると、レーベルはすべて英語とかドイツ語とかで、ぱっと見では内容はわかりません。じっくり読めばわかるとは思うのですが、売る側では数多くのSP盤を選別する作業で、ついつい面倒だと飛ばされることがあるみたいです。

ちなみにこのアルバムは総重量7kg

どこかで改めてお話ししますが、レコードの両面に貼ってあるレーベルには最低限の情報は記載されているのですが、私のように年齢を重ねると読めないほどの細かな文字で記述されているため、埃をかぶったレーベルの埃を払い、読むなどというのは、作業場面では大変だと思います。
またこれは致命的な欠陥(今となっては)なのですが、10インチSP盤の片面はおよそ3分程度の収録時間です。12インチのSP盤でも、片面5分です。そうなると演奏時間が1時間以上の交響曲などになると、最低でも6枚組や10枚組が当たり前になります。これらは当時立派な革張りのケースに入れられた書籍のような形で販売されていましたが、重量が5Kgとか、かなり重量物だったのです。
今のように一度CDをかけると連続で聴けるというような、らくちんなものではありませんでした。それだけに、十数枚組のSP盤で当時の臨場感を愉しみたいという人はまれでしょうし、再生にはレコード交換や針の交換など手間が必要になります。そのため1960年以降は人気版のLPなどが発売されたこともありますし、当然それらのいくつかは今日CDなどでも発売されています。もう一つ致命的なのは、SP盤はすべてモノラル録音なのです。ですから、SP盤のクラシックというのは当時の息吹やテクニック、指揮者の表現などを感じることはできても、交響楽団の編成を理解し、音色の違いや融合を愉しむというか、今日普通に楽しんでいるような聴き方はできません。

それでも愛好家が多ければ、
こんなSP盤の復刻版CDも発行されるのですよ。
友人からの頂き物ですが、
新品未開封のCD7枚組セットです。
貴重なものなので、開封せずに飾ってあります。
ロームミュージックファンデーションSPレコード復刻版非売品

また、ジャズなんかもそんな感じですが、名盤や珍盤探しの方が近頃は増加しているようです。とはいうものの、例えば今日現在ビートルズのSP盤(たぶんかなり珍しいと思いますよ)が1枚20万円ほど。10万円台のSP盤など数えるほどしかなくて、これは恐らく21世紀の人々が知っているアーティストが1950年代末に録音した珍しさで購入されているのだと思います。
逆に安い物は数十枚で1円からスタートと言う物も多く、それでも入札数が数件などと言う物が結構あります。こんな状況だと、たまたま持っていたSP盤が、すごく珍しいもので、なおかつ販売側がそれなりの知識があって値付けができて、さらにその分野の収集家が多いとか言う条件が揃わないと、なかなか商売にはならないです。
余程SP盤のファンが多くて、どんな分野でもいいのですが奪い合いにならないと値段はつり上がらないです。

だからレコードで儲かるか儲からないかは、手持ちの盤の人気があるかないかの運次第ですね。
さらに、ようやく落札してもらえても、経年変化のために、もろくて割れやすいのがほとんどなので、送り出す梱包にも気を遣うことになります。それに重い。100枚ほど箱詰めすると、およそ30Kg近い重量になります。
運賃は落札者負担としても、他の骨董品に比べると重くて安い、梱包作業が大変で壊れやすい、かさばる等、あんまりうまみのあるお仕事ではありません。
だから、そういった意味では、取り扱いしている業者の皆さんは、専門知識こそさほどないけれど、蓄音機やSP盤に愛を持って接していただいている方が多いと思っています。
ですからオークションで出会う大半の業者さんは、押しなべてコレクターには好意的だと思います。
小分けにしてプチプチで包んで頂いたうえに、ある程度ジャンル分けして頂いた梱包作業を見ると、それだけでも嬉しくなりますね。
商品に対する愛情が感じられます。また、そんな業者さんのレコードは比較的モノが良いように感じます。例えクズレコードでも大切に保管されていたんだなと感じます。
ところが、さすがにその業者さんも、売るものが増えて、LP盤やEP盤、CDなどとメディアもおおくて、今後は玉数も少なくて管理や梱包発送の面倒なSP盤から、徐々に撤退されてゆくのではないかと、個人的に危惧しています。

ちなみにLP盤は若いころに購入したものがやはり500枚位ほどありますし、知人には2万枚持っているという猛者がいますので、当分購入しなくても済みそうです。それに今では有線で、いくらでも聞けますから。
で、今はSP盤よりもLP盤の方が、ニーズは多そうですね。現にネットオークションでも、LP盤の方が値段も高値安定していますし、出品数も多いようです。
70年も昔のレコードなんて、おそらく大半の方は親御さんよりも年上のレコードですから、有名な楽曲以外への興味などは、期待する方がムリなんでしょう。
とはいうものの、自分のコレクションをネットオークションに出品する気はありませんが、手持ちのLP盤やSP盤がオークションで入札されているのをみて、その金額がそれなりに高ければ、自分が出品しているわけではないのに「よっしゃー」という気分になって、売らないし買わないけれど、なんだかイイ物持っているんだという気持ちにもなって、愉しんでます。

とはいうものの、極めて少量ではありますが、復刻版も少しは出回っています。
勿論、蓄音機で聴くのとは空気感が違うので、似て非なるモノという感じはありますし、原盤が残っていないため、復刻版の中でも雑音はあります。ですから、ムードはなんとなくご理解頂けるでしょう。

第7章 オークションでの買い方
SP盤をどこで購入するかというと、多くの場合webおアークションが増加しています。特に当方などのようなにわかSPコレクターは、専門店で購入するなどと言う高度な買い方はできません。そこで運を天に任せての、ネットオークションという方法に頼ってしまいます。 でもまあいいのです。目的のレコードがあるわけじゃないので、宝さがしのつもりなんですから。

 

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