第7章 オークションでの買い方

SP音盤コレクターへの道
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プロにはプロの、素人には素人の特徴がある

とりあえず買えるだけ買ったSP盤ですが、競り落として、送られてきたレコードを見て、色々な喜びや落胆を経験しました。
結論から言うと、古物商・個人からの落札レコード盤のメリットデメリットは以下の通りです。

古物商
メリット:
古物商が大量のデッドストックを持っていた場合、程度の良いほぼ新品の盤に出遭うことがある。音楽に疎い業者の場合には、100枚に1枚程度はうれしいレコードが入っていることがある。

デメリット:
購入したものには掘り出し物はほとんどなく(洋盤のジャズとか、著名な演者の演奏)いわゆる収集家の少ない、義太夫、小唄、越前琵琶、民謡、浪曲、擦り切れ盤などが多い。悪質な業者になると、ひび割れ、ふちかけがすごく多い。
安く落札できたので喜んでいたら、ほぼすべてが義太夫やをどりの長唄ということも。
骨とう品の業者さんに聞いたところによると、熱心なコレクターや同業者から連絡が入り、わざわざ足を運んだうえ、気に入ったものを見繕って購入していかれるそうです。
だから、実際にネットに出てくるものには買われなかった残りモノというケースも多いようです。

個人
メリット:
古いレコードでも丁寧に手入れされているものがある。割とジャンルがそろっていることもある。中には人気の盤も混じっている。
デメリット:
本物の蔵出しのため、埃まみれで真っ黒な埃の塊が届いたりする。
中には紙魚やゴキブリ、蛾などのミイラが入っていたり、当時の所有者の落書きやメモが挟まっていたりする。貴重なものだということで、レーベルに印鑑が押してあったり、芸者の名前が記されている。
送り方と重量、経年劣化がわからずに、包装が頼りなく、到着しても数十枚割れていたこともある。
などなど、書き出せばきりがないのですが、そのような話はさておいて、一番困ったのが、裸盤が多いということ。(つまりスリーブ(レコード会社名などが印刷された袋)に入っていなくて、むき出しのままのレコード)
特に業者・個人から購入する安い落札で済んだレコードは、スリーブがなくて、円盤を積み上げラップでくるんだような形状のものが多かったのです。
スリーブのまとめ写真

SP盤が流行した時代には、それなりの価格がしたと思うのですが、(大正3年当時には1枚1円、大正13年からは1枚75銭)今の価格にすると、おそらく1枚で5000円前後という感じでしょうか。両面2曲でこの値段ですから、結構高額な商品だったのですね。それだけに各ご家庭や、学校、あるいは料亭などでは貴重品として扱われたSP盤ですが、さすがに発売後70年とか80年を経ると、スリーブは虫に食われたり、物資のない時代の物はすり切れたりして、ほとんどなくなってしまっています。
さらに、音楽を再生する際スリーブから丁寧に取り出して、レコードをかけるという方法よりも、裸のレコードを複数並べておいて、立て続けに演奏するというスタイルで、途切れなく流すというような使い方をされたのではないかと思います。
そうすると、スリーブやライナーなどはいつしかゴミクズと化して捨てられ、SP盤本体のみが、レコード保管箱に保管されるというスタイルになったのでしょう。
そうなると、レコードにはものすごい量の埃がこびりつくようになります。
今までに購入した物中では、レコードを垂直に持つと、黒い埃が下にこぼれるような、すすをまぶしたような、レコードのタイトルも、溝も見えないというものでした。
さすがにそんなレコードは、数が少ない物の、溝にぎっしり埃が詰まっているようなのはざらにあります。

従ってこれらのレコードを何とか音が聴ける状態に復元する作業が必要になりました。
これが結構大変な作業となりました。
いわゆるインテリアとして、ラッパ型蓄音機を飾って、ターンテーブルにレコード盤を置くという程度の期待値なら、特にこだわる必要もないのですが、趣味が高じて当時の新品の音を再現したいということになれば、盤面のクリーニングは当然ですが、重要な作業になってしまいます。
ところが5000枚ほどのレコードを洗うとなると、これはもう趣味というより業務に近くなります。1枚のSP盤を、納得いくまで洗浄しようとすると、この世界では有名な、A液B液を使用して洗浄するという方法があります。
しかしこの方法だと、薬液が高く、おそらく1瓶で、100枚程度しか洗えないでしょうし、また1枚の洗浄を事務的に洗っても、おそらく10分近くかかるかもしれません。
もちろんこの薬液も購入していますし、洗浄に使用する不織布も持っています。
でも、これですべてのレコードを洗浄するのは、時間的に無理だという現実の前に、以下のような方針を定めました。

第8章 音盤整理は面倒だ(枚数が多い場合)
SP盤に関するエッセイです。今回は以上に増えすぎたSP盤をどのように整理してゆくかという考察について。 闇雲に買いあさったSP盤が1000枚を超えた辺りから、なにか不吉な予感がしていたのですけど。 どうすれば好みの音楽が取り出せるか。どんなデータ管理をするかというお話です。

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