第9章 家族にばれた

SP音盤コレクターへの道
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そりゃ隠しきれないわな~

ところで、あまりにもたくさんのSP盤を買い込みすぎたので、すべてのレコードを聴くことなんかできなくなりました。
元々は妻の実家でもらった蓄音機で、音楽を愉しみたいという普通の願望が、いつしかずれにずれまくり、どんどんオークションに応札するということになってしまって………。
そして気がつけば5000枚という数になっていたのでした。特に何が聞きたいと言うこともなく集めつぃまったけっかなのですが、実際に視聴してみるとなると、1枚の片面がおよそ3分~3分強ですから、両面で7分ほどになりますし、計算してみると35,000分。

時間にすると583時間(およそ24日)ほどにもなります。
死ぬ気になれば聞けないことはありませんが、それだけの時間が毎日一応は仕事をしている私にあるかどうか。いまだに貧乏暇なしで、引退年齢を5年以上過ぎても働いている立場ですからなかなか聞けません。
そのうち、事務所に秘匿していたレコードの枚数が妻にばれてしまいました。きっかけは事務所を縮小して居住部分を増やして、そこに引っ越すということになったからです。
事務所は両親が亡くなって、私が受け継いだ小さな家ですが、それでも5DK+作業場があるため、子供が独立して夫婦二人の生活には十分すぎるというのが理由でした。
で、リフォームすることにしたのですが、併せて部屋の不用品を捨てるという作業が発生したのです。
5DKのうちレコードや会社の資料で3部屋を独占していたため、リフォームも優先順位を私がある程度つけて、最初は狭いリビング、次いでキッチン、さらに廊下と、徐々に行ってきたのですが、残されたお風呂やトイレ、洗面所などを終えてしまうと、いつでも引っ越しできる状態になるため、部屋掃除をせかされたわけです。
そのような状況の中で、5000枚のレコード盤を、隠し続けることはできません。
さらに運の悪いことに、戦前戦後の蓄音機も10数台購入しており(蓄音機でもラッパ付きのは高いので、携帯式蓄音機をメインに購入していたため、容積もそれほど取らず、妻の目からは隠しやすかったのです)、それも当然のごとく見つかってしまったのです。
多くの人は蓄音機など何台持っていても、仕方がないというのですが、実はメーカーによって、再生音が異なるのです。
コレクションを始めたころは戦後の粗製乱造された訳の分からないメーカーの蓄音機を買っていたのですが、何台かそのような蓄音機を購入してからは、携帯型でも程度の良いコロムビアのものや、ビクターの蓄音機を購入してみると、やはり音質が違うことに気が付いたのです。まあ、そういった蓄音機の話は別の機会に譲るとして、ばれてしまったということです。
ばれてしまったからといって、それぞれの蓄音機の違いなどを説明しても、言い訳の蘊蓄なんぞ、聴いてもらえるわけもありませんし、どれだけお金を使ったのかということについては、怖くて言えません。おそらく天国か地獄へもっていくつもりです。
一時期は本当に険悪になって、妻の顔から笑顔が消えてしまいました。実際今でもSP盤の話になると、表情が曇ります、
この年になって三行半を突きつけられると一人では何もできな私ですから、慌ててオークションからとりあえずは撤退いたしました。
それ以降自宅ではいつパソコン画面を妻に覗かれるかもしれないため、オークションのページは見ないようにしています。
私の妹も、引っ越し準備の手伝いに来てくれるので、できる限りレコード関係の移動や洗浄、整理、スリーブつくりなどは彼女に手伝ってもらっていますが、基本的に妹は私の見方ではなく、妻の味方です。(バイト代を支払っているのは私なのに)
いかに音楽鑑賞や、レコード収集が高尚で知的な趣味であっても、超現実の世界に生きる女性においては、単なるゴミの山であり無駄使いにしかすぎません。
超現実的な問題も突きつけられます。「あんたが死んだあと、これだけのレコードや蓄音機をどう処分するの」「これだけのレコードと自分の年齢考えたら?」といわれると、返す言葉が見当たらないですね流石に。
これからコレクターを目指す方に忠告。家族は味方と思っていると、時として強烈な敵になることもあるので、日ごろのフォローをきっちりしておいてください。
当家の場合、鬼嫁でも鬼妹でもなく結局は私が悪いのです。(責められて多少いじけてますけど)
私のロマンやそれに伴う行動など、理解してもらえるかどうか。
理解してくれても、その量には理解を示してくれなかったということなんです。
そこで素直に謝れば良かったのでしょうけど(謝るのはいやだったので)苦し紛れの言い訳を二つほど思いつきで言ってしまい、そのことでまたまた苦労することになるのですが、それは後ほどのお話。

で、今頃反省しても仕方がないのですが、一番良くないのは、レコードを愉しむつもりが、オークションの魅力にとりつかれてしまったことでしょうね。
勝つか負けるかの世界に身を置いてきた自身にとって、オークションで落札できなかった悔しさ(それもたいてい、締め切り時間の5分程度前に逆転されて)その悔しさを次回は落札してやるという、片意地になってしまったとき、我を忘れてしまった自分に責任があると思います。

その部分の反省もあって、妻や妹の攻撃にもサンドバッグ状態になってしまっているわけです。

第10章 データベースを作ってみる
SP盤に関するエッセイです。レコードが多くなると、聴きたい音楽をすっと探し出せるような仕組みが欲しくなります。 市販のデータベースを使えば良かったのですが、中途半端な私は、データベースも自作してみようと思ってしまったのが運の尽き。 またまた深みにはまってしまって。

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